溶ける部屋
☆☆☆
朝起きて健と2人で広間へ行くと、郁美が1人でキッチンに立っていた。
その様子に一瞬ビクリとして立ち止まるあたし。
その背中を、健がそっと押した。
「お、おはよう……」
自分でも情けないと思うくらい、小さな声でそう言った。
あたしの声に郁美がビクリと肩を震わせる。
また昨日のように怒鳴られるだろうかと、身構える。
しかし、郁美は振り返るとぎこちなくほほ笑んだのだ。
「……おはよう、明日花」
その返事にあたしは一瞬戸惑ってしまった。
昨日あんなことがあったばかりなのに向けられた笑顔。
どんなふうに返事をすればいいんだろう?
困っていると、健が大あくびをしながら椅子に座った。
「腹へったなぁ、今日の朝飯はなに?」
「お味噌汁と、お魚」
郁美が少し照れたように顔を赤らめてそう答えた。
「あ、あたしも手伝うよ!」
あたしはすぐにそう言い、郁美の隣に立った。
近い距離に緊張したけれど、郁美はいつも通り……この建物へ来る前の様子に戻っていた。
あたしはお味噌汁の具を切りながら横目で郁美を見た。
郁美も時々あたしの事を気にして視線を向けている。
お互いに話を切り出すタイミングを見計らっているのがわかった。
朝起きて健と2人で広間へ行くと、郁美が1人でキッチンに立っていた。
その様子に一瞬ビクリとして立ち止まるあたし。
その背中を、健がそっと押した。
「お、おはよう……」
自分でも情けないと思うくらい、小さな声でそう言った。
あたしの声に郁美がビクリと肩を震わせる。
また昨日のように怒鳴られるだろうかと、身構える。
しかし、郁美は振り返るとぎこちなくほほ笑んだのだ。
「……おはよう、明日花」
その返事にあたしは一瞬戸惑ってしまった。
昨日あんなことがあったばかりなのに向けられた笑顔。
どんなふうに返事をすればいいんだろう?
困っていると、健が大あくびをしながら椅子に座った。
「腹へったなぁ、今日の朝飯はなに?」
「お味噌汁と、お魚」
郁美が少し照れたように顔を赤らめてそう答えた。
「あ、あたしも手伝うよ!」
あたしはすぐにそう言い、郁美の隣に立った。
近い距離に緊張したけれど、郁美はいつも通り……この建物へ来る前の様子に戻っていた。
あたしはお味噌汁の具を切りながら横目で郁美を見た。
郁美も時々あたしの事を気にして視線を向けている。
お互いに話を切り出すタイミングを見計らっているのがわかった。