溶ける部屋
☆☆☆
トシの部屋はどの部屋とも変わらなかったが、ベッドの布団が乱れたままになっていた。
トシが生きていた形跡に胸がズキリと痛むのを感じる。
「特に変わったところはないな」
健が部屋の中を見回してそう言った。
「あぁ。なにかあるとすれば、ここか」
弘明がそう言い、机の前に立った。
ペンや紙は全部机の中にあったものだ。
あたしたちが必要とすることをわかっていて、ちゃんと準備されていたのだ。
「開けてみてよ」
伶香が弘明の隣でそう言った。
「あぁ」
弘明がそう言い、勢いよく引き出しを開けた……。
その瞬間、伶香が「うっ」と低い声を出して後ずさりをした。
「なんだこれ」
弘明が首を傾げている。
「なにがあったの?」
あたしと郁美が引き出しの中を覗き込む。
そこには真っ黒に塗りつぶされた紙が入れられていたのだ。
「ペンで塗りつぶしてある……」
郁美がそう呟き、自分の体を抱きしめた。
トシの部屋はどの部屋とも変わらなかったが、ベッドの布団が乱れたままになっていた。
トシが生きていた形跡に胸がズキリと痛むのを感じる。
「特に変わったところはないな」
健が部屋の中を見回してそう言った。
「あぁ。なにかあるとすれば、ここか」
弘明がそう言い、机の前に立った。
ペンや紙は全部机の中にあったものだ。
あたしたちが必要とすることをわかっていて、ちゃんと準備されていたのだ。
「開けてみてよ」
伶香が弘明の隣でそう言った。
「あぁ」
弘明がそう言い、勢いよく引き出しを開けた……。
その瞬間、伶香が「うっ」と低い声を出して後ずさりをした。
「なんだこれ」
弘明が首を傾げている。
「なにがあったの?」
あたしと郁美が引き出しの中を覗き込む。
そこには真っ黒に塗りつぶされた紙が入れられていたのだ。
「ペンで塗りつぶしてある……」
郁美がそう呟き、自分の体を抱きしめた。