溶ける部屋
☆☆☆
着替えをして広間に行くと、健が言っていた通りすでに朝食ができていた。
ご飯を作ってくれた伶香と郁美に謝り、ようやく自分の席についた。
「じゃ、とにかく食うか!」
弘明がそう言い箸を持つ。
「空腹のままじゃ何もできないもんね」
伶香がそう言い、笑った。
みんなとご飯を食べるのも、もしかするとこれで最後になるかもしれないんだ。
そう思うと、途端に寂しさが込み上げて来るのがわかった。
もちろん、こんな建物からは今すぐに脱出したいと願っている。
ただ、外へ出た後も弘明と伶香との関係が続けばいいなと思えていた。
「伶香のご飯はやっぱり美味しいね」
郁美がお味噌汁を食べてそう言った。
「でしょ? 今度は家に呼んであげるよ。あたし9月が誕生日だから、パーティーしようよ!」
「へぇ、9月生まれなんだ?」
「でも伶香の誕生日に自分で料理をするの?」
あたしが2人の会話に割って入ると、伶香は「それは変か……」と、真剣な顔で考え込んでしまった。
その様子がおかしくて、あたしと郁美は声を出して笑った。
みんな、なんとなくわかってるんだ。
終わりが近いと言う事を……。
着替えをして広間に行くと、健が言っていた通りすでに朝食ができていた。
ご飯を作ってくれた伶香と郁美に謝り、ようやく自分の席についた。
「じゃ、とにかく食うか!」
弘明がそう言い箸を持つ。
「空腹のままじゃ何もできないもんね」
伶香がそう言い、笑った。
みんなとご飯を食べるのも、もしかするとこれで最後になるかもしれないんだ。
そう思うと、途端に寂しさが込み上げて来るのがわかった。
もちろん、こんな建物からは今すぐに脱出したいと願っている。
ただ、外へ出た後も弘明と伶香との関係が続けばいいなと思えていた。
「伶香のご飯はやっぱり美味しいね」
郁美がお味噌汁を食べてそう言った。
「でしょ? 今度は家に呼んであげるよ。あたし9月が誕生日だから、パーティーしようよ!」
「へぇ、9月生まれなんだ?」
「でも伶香の誕生日に自分で料理をするの?」
あたしが2人の会話に割って入ると、伶香は「それは変か……」と、真剣な顔で考え込んでしまった。
その様子がおかしくて、あたしと郁美は声を出して笑った。
みんな、なんとなくわかってるんだ。
終わりが近いと言う事を……。