溶ける部屋
☆☆☆
郁美を待っている間に、弘明についていた伶香が戻って来た。
その目は赤くなっていて、泣いたのだと言う事がわかった。
あたしも、健があんなふうに部屋の中で気絶してしまったらと考えると、とても怖くなった。
「弘明は大丈夫か?」
健が聞くと伶香は「うん」と、頷いた。
やっぱり涙声になっている。
「そろそろ3分だな」
健に言われて「郁美! 時間だよ!」と、ドアへ向けて声をかけた。
「え? もう?」
郁美のそんな声が聞こえてきてドアが開いた。
郁美は足元はしっかりしていて、だけど困ったような表情を浮かべている。
「どうだった?」
そう聞くと「懐かしい気持ちになってきたところで時間になっちゃった」と、眉を下げて言った。
「そうなんだ。やっぱり個人差が大きいみたいだね」
あたしはそう言い、郁美の肩を叩いた。
「あたし、もう少し入ってようか?」
何も思い出さなかったことが申し訳ないのか、郁美がそんな事を言い出した。
「ダメだよ郁美」
「でも……」
「大丈夫だって、あたしと伶香が何かを思い出すかもしれないんだから。郁美は待ってて」
そう言うと、ようやく郁美は納得したように頷いたのだった。
郁美を待っている間に、弘明についていた伶香が戻って来た。
その目は赤くなっていて、泣いたのだと言う事がわかった。
あたしも、健があんなふうに部屋の中で気絶してしまったらと考えると、とても怖くなった。
「弘明は大丈夫か?」
健が聞くと伶香は「うん」と、頷いた。
やっぱり涙声になっている。
「そろそろ3分だな」
健に言われて「郁美! 時間だよ!」と、ドアへ向けて声をかけた。
「え? もう?」
郁美のそんな声が聞こえてきてドアが開いた。
郁美は足元はしっかりしていて、だけど困ったような表情を浮かべている。
「どうだった?」
そう聞くと「懐かしい気持ちになってきたところで時間になっちゃった」と、眉を下げて言った。
「そうなんだ。やっぱり個人差が大きいみたいだね」
あたしはそう言い、郁美の肩を叩いた。
「あたし、もう少し入ってようか?」
何も思い出さなかったことが申し訳ないのか、郁美がそんな事を言い出した。
「ダメだよ郁美」
「でも……」
「大丈夫だって、あたしと伶香が何かを思い出すかもしれないんだから。郁美は待ってて」
そう言うと、ようやく郁美は納得したように頷いたのだった。