溶ける部屋
顔が熱くなりながらも、あたしは言われた通り体をベッドへと横たえた。


「で、何か思い出したのか?」


そう聞かれて、あたしは公園内にいた女の子のシルエットを思い出していた。


「うん。きっと、弘明と同じ子の事を思い出したんだと思う」


「本当か!?」


健が目を丸くしてそう聞いて来た。


「たぶん、だけどね? でもあたしにはその子の顔も名前も思い出せなかったの。ただ、公園内に女の子のシルエットが見えただけだから」


「それでも、十分な手がかりだろ」


健は嬉しそうに笑っている。


手がかり。


だとすれば、あのシルエットの存在がこの建物に大きく関係している、と言う事になるのだろうか?


まだわからなくて、あたしは首を傾げた。


「明日花、大丈夫?」


郁美のそんな声が聞こえてきて、健が立ち上がってドアへと向かった。


「お粥作ったんだけど、食べる?」
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