溶ける部屋
郁美が作りたてのお粥を持って来てくれた。


「ありがとう。もうお昼なの?」


窓の外を見ても時間がわからなくて、そう聞いた。


「たぶんね。お腹の好き具合から言うと昼過ぎくらいかなって思ったんだけど」


郁美はそう言いながら、机にお粥を置いてくれた。


「ありがとう。弘明は大丈夫そうなの?」


「うん。弘明もまだ横になってるよ。伶香がお粥を持って行った」


「そっか……」


思い出の中に出て来た弘明を思い出す。


あの時あたしは弘明と会話をしていた。


弘明はその事を思い出しているだろうか?


気になったけれど、今日は大人しくしていよう。


じゃないと健に怒られそうだしね。


あたしはチラリと健を見た。


健はさっきと同じ場所に座り、あたしの様子をしっかりと見ていたのだった。
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