溶ける部屋
「あの公園にいた子でしょ?」


「そうだ。間違いない!」


弘明は何度も頷いてそう言った。


「この子って……マミちゃんじゃないの?」


そう言ったのは郁美だった。


郁美はあたしの絵をジッと見つめている。


「マミちゃん……?」


あたしは郁美に聞き返す。


「うん。ほら、小学校1年生の時同じ学校にいたじゃん」


そうだったっけ?


思い出せなくてあたしは自分の絵を見つめた。


マミちゃん……。


記憶の奥底に眠っている思い出を呼び覚ませる。


「あ、もしかして障害を持ってた子?」


「そうそう! 少しだけあたしたちと違うなって、感じたよね」


郁美が言う。


あたしは目を見開いて弘明を見た。


『変な子』


そう言った意味がようやくつながった。


マミちゃんは軽度の知的障害者で、普段はあたしたちと同じ学校に通い、同じように遊んでいた。


だけどやはり少しだけ人と違う所があって、それをからかわれていた場面を何度も見たことがあった。
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