溶ける部屋
伶香と2人で郁美を部屋まで運ぶと、郁美はそのまま目を閉じた。


不安になって胸に手を当ててみると、まだしっかり心臓が動いているのがわかった。


「早くしなきゃ、このままじゃ死んじゃう」


あたしはそう言い伶香と2人で部屋を出た。


「早くするって言っても、どうするの?」


「郁美はあたしたちにちゃんとヒントをくれたじゃない」


あたしはそう返事をして、真っ直ぐ鍵のかかった部屋の前にやってきた。


「マミちゃんがいなくなったのは今から9年前の7月13日だよ」


「そっか、平成19年で打てば……」


「暗証番号は《19713》」


あたしはそう言い、番号を打ちこみ始める。


指先が震えて、汗が滲んでくるのを感じる。


これで開くかどうかはわからなかった。


だけど、マミちゃんに関する唯一の番号だった。


最後の一桁を入力する。


お願い、開いて……!!


そう願った時、ピピッという電子音が聞こえてきて、鍵が開く音が聞こえた。
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