溶ける部屋
とりあえず落ち着いたみたいでホッと胸をなで下ろす。


こんな場所で喧嘩を始められても、どんどん関係が悪くなっていく一方だ。


トシがコホンと咳払いをして、会話を続けた。


「ここの建物のオーナーがいつ来るのかはさすがにわからない。だけど、宿泊施設だとしたら夏休み中には誰かが来るんじゃないかと思う」


「うん。そうだね」


郁美が頷く。


「今は17日以降だとすれば、夏休みはあと2週間くらいかな?」


伶香が言う。


「そうだな。だから、その間に誰かが来る可能性は高いと思う」


「仮に来なくても、夏休みが終わっても戻ってこない俺たちを、両親が探し始めるだろ」


健がそう言った。


「うん、そうだよね。それまでここにいると仮定して、行動をした方がいいと思う」


あたしは健の意見に賛同してそう言った。
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