溶ける部屋
「俺にもわからない。どうしてこんな場所にいるのか」


健にそう言われて、あたしは初めて周囲を見回した。


あたしは寝転んでいた場所は森の中だった。


それも、見たことのない森の中。


少し遠くに小道が見えて、そこにはオレンジ色の光がさしていた。


「ここ、どこ!?」


あたしは頭痛も忘れて飛び起きた。


瞬間、体のあちこちが痛む。


ずっと地面に寝ていたからだろう。


「わからない」


健が左右に首をふる。


その時だった、「やっと起きた? 大丈夫?」そんな声が聞こえてきてあたしは体を反転させた。


「郁美(イクミ)!?」


あたしに声をかけて来たのはクラスメートの戸長郁美(トナガ イクミ)だった。


郁美は長い髪をポニーテールにしている。


その髪には所々土がついていた。


「ここはどこ!?」


混乱したままそう聞くと、郁美は「わからない」と、左右に首を振った。
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