溶ける部屋
☆☆☆

昨日と同じ部屋に入っても、あたしはしばらく落ち着かなかった。


沼が邪魔をして森を出る事が出来ない事。


電話も通じない事が閉塞感を醸し出している。


明日は一体どうするつもりなんだろう?


ただここで助けを待つだけなのか、それともまだ行動に移していないことをしてみるのか。


あたしは何度か寝返りをうってため息を吐き出した。


この建物へ入った時のような嫌な予感が胸の中に渦巻いている。


その時だった、ノック音が響いてあたしは上半身を起こした。


「誰?」


「俺だ」


健の声はあたしはハッとしてドアへと走った。


そっとドアを開けるとそこには健が立っている。


「どうしたの?」


健を中へと招き入れてあたしはそう聞いた。


「眠れてないんじゃないかと思ってな」


健はそう言いあたしの頭をポンッと撫でた。
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