溶ける部屋
共通点
翌日。


目が覚めてリビングダイニングへと向かうと、朝食のいい香りがしてきていた。


キッチンには伶香と郁美が立っていて、あたしは慌てて2人の隣に立った。


「ご、ごめん2人とも！　寝坊しちゃった！」


「いいのいいの。こう見えてあたしは料理が趣味だからやってるんだから。先に顔でも洗っておいでよ」


伶香がそう言い、笑顔を浮かべる。


そう言えば昨日の夕飯の時も人一倍張り切っていたのは伶香だっけ。


「ありがとう。すぐに手伝うから」


あたしはそう言い、洗面所へと向かった。


鏡に映る自分の顔を見ていると昨日の晩の事を思い出して、思わず頬が赤くなった。


健にあんなに強く抱きしめられて、本当に心臓が止まってしまうかと思った。


だけど、すごく嬉しかった。


だから今日は寝坊してしまったんだけど……。


あたしは苦笑いを浮かべて顔を洗った。


冷たい水で顔を洗うと、少しは気持ちがシャキッとする。


こんな中でデレデレとしていては怒られてしまいそうだ。


顔をふいて戻ると、郁美がお皿を準備している所だった。


「郁美、お皿はあたしが出すから休んでて」


2人に料理をさせてしまったんだから、これくらいの事はしなきゃね。
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