溶ける部屋
一緒に
また夜になり、あたしはベッドの座って暗くなった窓の外を見つめた。


周囲が暗くなると森の中から動物の鳴き声が聞こえてきはじめる。


建物の中にいれば大丈夫だと思うけれど、不安は付きまとっていた。


その不安は一カ所にはとどまらず、いろんな場所へと広まって行く。


このままずっとここにいるのだろうか?


本当に人が来るの?


集められたのであれば、助けなんて来ないんじゃない?


そんな、気分が重たくなるような事しか考えられなくなっていく。


あたしは強く首を振り、ベッドに横になった。


考えていても仕方がない。


今は前を向いていなきゃ。


そう思ってキュッと目を閉じた時、ノック音が聞こえてきてあたしはすぐに目を開けた。


「明日花?」


健の声にあたしは慌てて起き上がった。


今日も部屋に来るとは思ってもいなかった。


あたしは電気をつけ、髪の毛をかるく整えてドアを開けた。


「どうしたの?」


「一緒に寝てもいいか?」


パジャマ姿の健が少し照れながらそう言った。


「一緒にって……」


あたしは一瞬にして自分の顔が熱くなるのを感じていた。


「へ、変な意味じゃないんだ。俺もなにもしない」


慌ててそう言う健に、あたしはホッと胸をなで下ろした。


同時に少しだけ寂しいような気もしてしまう。
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