溶ける部屋
散策
リビングへ行くとすでに朝食ができていて、あたしたち意外の全員が待っていた。


こんなに気まずい事は今まで経験した事もない。


そう思いながらおずおずと席に座った。


健は大あくびをしながらあたしの隣に座る。


「へぇ、そういう事」


ニヤニヤしながらそう言ったのは伶香だった。


「な、なにが?」


そう聞く自分の声が裏返ってしまった。


これじゃ余計に怪しいだけだ。


「なんだよお前ら、付き合ってたのか」


弘明が聞く。


その言葉に否定しそうになったけれど、昨日の出来事を思い出して口を閉じた。


あたしはもう、健の彼女なんだ。


そう思うと体の芯が熱くなるような感覚に襲われた。


「昨日からな」


健は照れもせずにそう言った。


「昨日から?」


トシがけげんそうな顔でそう言った。


「あぁ。気持ちは知ってたけどな」


健がそう言うと、トシは納得したように「なるほどな。この状況が後押ししたんだな」と、言った。


トシの言う通りだった。


「なんだよ結構楽しんでんじゃねぇかよ」


弘明が冗談っぽくそう言い、伶香が明るく笑う事で雰囲気が少しだけ和やかになった。


「とにかく、朝食にしよう。それから今日は外を調べてみようと思うんだけど、いいかな?」


トシの言葉に誰も反論はないようだった。
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