溶ける部屋
☆☆☆

小道を下ると大きな沼がある。


その事がわかっていたあたしたちは、小道を更に上へと進んでいく事にした。


6人で外に出て建物を見上げると、アンテナが立っている事に気が付いた。


「一応、電波は届いてるんだな」


健が言う。


「でも、テレビはないから意味がないよね」


あたしはそう返事をした。


するとトシが首を傾げてアンテナを見た。


「あれはテレビアンテナじゃなさそうだな」


「どういう意味?」


伶香が聞く。


「わからない。だけどあんなアンテナは見たことがないな。屋上へ出てみてもいいかもしれないけど……」


トシがそこまで言って、建物の周辺を眺めはじめた。


「なにか探してるの?」


あたしが聞くと「梯子がないかなと思って」と、トシが答えた。


屋上へ上がる梯子の事だ。


「建物の中から行くのかもしれないね?」


そう言いながらも、あたしも疑問を感じていた。


階段なんて、あっただろうか?
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