溶ける部屋
建物の前にはさっきの男の子と、見知らぬ女の子ともう1人男の子が待っていた。


男の子と言っても、なんだかすごく体格がよくて茶髪で怖そうな感じの子だ。


でも、年代はきっとあたしたちと変わらない。


みんな高校生だ。


すぐにそう理解できたのは、みんなが制服を着ていたからだった。


そうじゃないと、きっとわからなかっただろう。


ふと、あたしは自分が身に付けている制服を見下ろした。


見慣れた高校の制服だ。


スカートのポケットを探ってみる。


だけど、いつも入れているハンカチやティッシュはなかった。


それを確認してため息を吐き出す。


もしスマホを持っていれば誰かと連絡がつくかもしれないと思ったのだけれど、ダメだったようだ。


健や郁美に聞いてみても、みんな何も持っていないのだと返事をした。
< 5 / 205 >

この作品をシェア

pagetop