溶ける部屋
☆☆☆
「明日花!?」
フラフラと廊下を歩いていると、伶香と郁美がやってきた。
2人とも、あのリビングから逃げて来たのだろう。
「あの部屋にまだトシがいるから……あのままにしてはおけないでしょう?」
「どうするつもり?」
「片づけ……ないと……」
どんな理由であんな事になってしまったのかわからないけれど、あのままじゃトシが可愛そうだった。
最後に何かを伝えようとしていたトシの姿を思い出して、胸が痛む。
すでに形が消えてしまっていたのに、なけなしの力を振り絞ったんだ。
トシが何を言いたかったのかはわからないままだけれど、あれはきっとあたしたちへのメッセージ。
もしかしたら、ここから出るための方法が何かわかったのかもしれない。
あの部屋に入るのには勇気がいるけれど、誰かがトシを片付けてあげなきゃいけない事には変わりない。
「明日花!」
そんな声が聞こえて振り返ると、そこには健が立っていた。
弘明に殴られた痕が赤くなっている。
「部屋に入るつもりか」
そう聞かれて、あたしは頷いた。
「俺が行く」
あたしを押しのけるようにして先に歩き始める健。
「明日花!?」
フラフラと廊下を歩いていると、伶香と郁美がやってきた。
2人とも、あのリビングから逃げて来たのだろう。
「あの部屋にまだトシがいるから……あのままにしてはおけないでしょう?」
「どうするつもり?」
「片づけ……ないと……」
どんな理由であんな事になってしまったのかわからないけれど、あのままじゃトシが可愛そうだった。
最後に何かを伝えようとしていたトシの姿を思い出して、胸が痛む。
すでに形が消えてしまっていたのに、なけなしの力を振り絞ったんだ。
トシが何を言いたかったのかはわからないままだけれど、あれはきっとあたしたちへのメッセージ。
もしかしたら、ここから出るための方法が何かわかったのかもしれない。
あの部屋に入るのには勇気がいるけれど、誰かがトシを片付けてあげなきゃいけない事には変わりない。
「明日花!」
そんな声が聞こえて振り返ると、そこには健が立っていた。
弘明に殴られた痕が赤くなっている。
「部屋に入るつもりか」
そう聞かれて、あたしは頷いた。
「俺が行く」
あたしを押しのけるようにして先に歩き始める健。