溶ける部屋
☆☆☆
弘明が1人で部屋に入っている間、あたしたちは部屋の前で弘明が出て来るのを待っていた。
ドアを開けて様子を見ておこうと思ったけれど、健がそれを止めた。
ドアを開けているだけで体に影響があるかもしれないからと、念を入れたようだ。
「ねぇ健。変な感じって、どんな感じなの?」
さっき健と同じように部屋に入ったけれど、あたしはなにも異変は感じなかった。
「良い言い方だと、自分に素直になれるような、懐かしい事を思い出すような感じだな。悪い言い方だと、自分の欲望を制御できなくなるような感覚」
健の言葉に伶香が軽く身震いをした。
昨日トシが言っていた通りだ。
健が嘘をつくとは思えないけれど、もしそれが本当であればこの部屋は一体なんなのだろう?
ただの宿泊施設ではないことは、もう明白だった。
「もう1つ気になる事があるよね」
そう言ったのは郁美だった。
郁美は鍵のかかったドアの前に立ちそのドアノブを軽く回した。
来たときと動揺、動かない。
ドアの横には何勝番号を入力する画面がある。
「この部屋、なんなんだろうね」
誰ともなく、郁美がそう言った。
「わからない」
伶香がそう返事をした。
「暗証番号とかも、心当たりはないよね?」
「あるわけないじゃん」
「建物の中に数字が隠されているとかさ」
「昨日階段を探している時に色々調べたけれど、なかったよ」
伶香がそう言い、郁美が「そっか」と、ため息を吐き出した。
この部屋が開けば何かがわかるのだろうか?
そう思うけれど、開かないのだから部屋の意味もわかるわけがなかった。
結局、振り出しだ。
そう思ったときだった。
突き当りの部屋のドアが開き、フラフラと弘明が出て来たのだ。
手にはナイロン袋。
すべての液体を詰め込んだのか、その袋はパンパンになっている。
弘明が1人で部屋に入っている間、あたしたちは部屋の前で弘明が出て来るのを待っていた。
ドアを開けて様子を見ておこうと思ったけれど、健がそれを止めた。
ドアを開けているだけで体に影響があるかもしれないからと、念を入れたようだ。
「ねぇ健。変な感じって、どんな感じなの?」
さっき健と同じように部屋に入ったけれど、あたしはなにも異変は感じなかった。
「良い言い方だと、自分に素直になれるような、懐かしい事を思い出すような感じだな。悪い言い方だと、自分の欲望を制御できなくなるような感覚」
健の言葉に伶香が軽く身震いをした。
昨日トシが言っていた通りだ。
健が嘘をつくとは思えないけれど、もしそれが本当であればこの部屋は一体なんなのだろう?
ただの宿泊施設ではないことは、もう明白だった。
「もう1つ気になる事があるよね」
そう言ったのは郁美だった。
郁美は鍵のかかったドアの前に立ちそのドアノブを軽く回した。
来たときと動揺、動かない。
ドアの横には何勝番号を入力する画面がある。
「この部屋、なんなんだろうね」
誰ともなく、郁美がそう言った。
「わからない」
伶香がそう返事をした。
「暗証番号とかも、心当たりはないよね?」
「あるわけないじゃん」
「建物の中に数字が隠されているとかさ」
「昨日階段を探している時に色々調べたけれど、なかったよ」
伶香がそう言い、郁美が「そっか」と、ため息を吐き出した。
この部屋が開けば何かがわかるのだろうか?
そう思うけれど、開かないのだから部屋の意味もわかるわけがなかった。
結局、振り出しだ。
そう思ったときだった。
突き当りの部屋のドアが開き、フラフラと弘明が出て来たのだ。
手にはナイロン袋。
すべての液体を詰め込んだのか、その袋はパンパンになっている。