溶ける部屋
健が入力を終えて、ドアノブに手をかける。


ガチッと音がするがドアノブはびくともしない。


「次は『00001』だ」


健が舌なめずりをして入力していく。


しかし、次もダメ。


『00002』まで繰り返したあと、途端に数字板がビーッ!と大きな音を立てて暗転した。


「嘘だろ、たった3回までしか入力できないのかよ」


それを見ていた弘明が舌打ちをしてそう言った。


1日3回。


これじゃ番号にぶつかる前に建物の食糧が尽きてしまうかもしれない。


「やっぱり、順番とかあてずっぽうじゃ無理みたいだな」


健がそう言い、手のひらの汗を自分のズボンで拭った。


その額にも、うっすら汗が滲んでいる。


「ありがとう健」


あたしはそう言い、そっと健の背中をなでたのだった。
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