天国の不動産




午後15時。




葵のアルバイトも上がりの時間。




この後は月に1回のクリニック通院。




帰ると葵の母が準備をして待っていた。





「おかえり葵。お仕事お疲れ様」




葵の母親は未だに葵を腫れ物扱いしている。




「ただいま。今日ね、バイト先の大学生の男の子がね」




葵が間髪入れずに話し出す。




驚いた顔をする母に違和感を覚えた葵は、すぐに話すのをやめた。




「め、珍しいわね。葵が他の男の子の話をするなんて…」





「そう…だっけ」




なんとも言い難い、おさまりの悪い空気が流れる。




「帰って早々だけど、今日クリニックだよ。行こうか…」




< 101 / 114 >

この作品をシェア

pagetop