天国の不動産
自分で望んだこと。
これが1番正しい方法ではなかったのも分かっている。
だけど、今の自分には葵を救うにはこの方法しかなかった。
ただそれだけのこと。
死んだ自分はどうなってもいいと思ってた。
実体はないのに、感情が残っていることがここまで厄介だとは。
僕は無意識に涙を堪え、息を呑んだ。
「これで後悔なく成仏できます」
山下の目を見る。
いつもと変わらない、無愛想な山下の目が、少しだけ安心できた。
「それでは、逢坂さんの次の物件をお探しします。希望はありますか?」
「希望…」