天国の不動産
「こちらこそ、お世話になりました」
言って不動産を後にする。
死んでから生まれ変わりを決めるまで、かなり時間がかかった。
自分で選択してこなかった、決断できなかった、そんな人生を送ってきた僕の責任。
たくさんの人に出会った20年間も、僕の死後の行動によって1000人以上の人記憶が
消えてしまった。
そこに後悔が全くないと言えば嘘になるし、これで良かったとも思っていない。
だからこそ僕は次に進む。
僕は、忘れられた1000人の記憶のために、僕が生きていた事実を、その記憶を後世に持っていこうと決めた。