天国の不動産
気付けば、生界は午後6時になっていた。
事故現場の大通りにいたはずが、突然ガラリと視界が変わり、目の前は天国の門だった。
「逢坂湊さん。おかえりなさい」
12時間前に送り出してくれたあの門番が言う。
まるでゲームの強制終了のような感覚。
別にもう少しいたかったわけではないが、何となくモヤッとした。
「生界はどうでしたか?やりたいことは出来ましたか?」
「やりたいこと…」
目的は自分が死んだ後の世界、残された人たちの様子を見るだけだった。
口を噤んでいると、門番は深堀はしないと言ったように、また業務に戻る。