天国の不動産
「生まれ変わりって、絶対しなくてはいけないんですか?」
つい、出てしまった質問。
山下は目を丸くした。
「また、珍しい質問ですね。大体の方は次は何になろうかとわくわくしながら決めるのですが」
「そうだよね」と僕は頭の中で思うが、口には出せなかった。
黙ったまま気持ち通りに俯いてしまう。
「魂にもお家が必要です。ふらふらと彷徨っているだけでは、何も出来ません。それで良いと思うのであれば、それまでですが、魂に意思がある以上、希望を持ってしまうものです」
分かっている。
少し考えれば簡単に分かること。
だけど、あんな姿の彼女を見て、納得出来るはずがなかった。
「だけど、これじゃ安心して生まれ変わることが出来ません」
「あなたはどうしたいですか?」
僕の彼女の状況を分かっているのか、分かっていないのか、山下はまるで台本を読むように抑揚なく聞いてくる。