天国の不動産




''前世に後悔したって、今に後悔する必要はない''



誰かの記憶が無くなることを恐れず、真っ直ぐに門へ向かったあの女性はそう言った。



だけど、同時に''後悔したらまたその時考えたら良い''と。

そうも言っていた。



これまで出会った人たちの記憶が消えてしまおうが、今は葵の中から自分の記憶を消してあげたい。



それが葵を救う正しい方法かは分からないが、自分のせいで泣いたり苦しんだりして欲しくない。


ただそれだけ。


生界へ降りる理由はそれだけで良いのだろうか。




< 63 / 114 >

この作品をシェア

pagetop