天国の不動産
僕の後悔は、大切な人よりも先に死んでしまったこと。
後悔なく、前世に未練なく成仏するためには…
僕は気持ちが変わる前に再び門へと向かった。
門には相変わらず業務的に門番が立っている。
「逢坂湊さん。再び生界へ降りられるのですか?」
僕が近づくと、門番はそう尋ねてくる。
「…はい」
自分の選択の自信のなさが声を小さくさせてしまう。
「現在の生界は午前7時なので、降りるには丁度いいですが、今回はどのような理由になりますか?」
「今回は…彼女から僕の記憶を無くすためです」
僕の言葉に門番は目を見開いた。
「それはまた…」