天国の不動産
とにかく今は余計なことは考えず、葵の後を追った。
葵はやはり事故現場で足を止めた。
既に大量の花が添えてある中、さっき買ったサマースイトピーを新たに添える。
葵が毎日添えているということは、ここにある花はほとんど葵が添えたものだろう。
手を合わせ、目を閉じる。
放心していた葵の目からは、涙が溢れていた。
僕はここにいるのに。
葵が望むなら、生まれ変わりなんてしないでずっと側にいるのに。
天国で出会ったおじいちゃんのように、葵のことをずっと待つのに。
その相談すらも出来ない現状に苛立ちを覚える。
葵は相変わらず、何時間もそこから離れることはなかった。