天国の不動産
それを追うこともできず、ここでまた強制終了。
約束の19時になったようだ。
僕の視界はいつの間にか見慣れた天国の草原。
天国を見慣れてしまうとは、人間の環境適応能力が恐ろしい。
日常を求めていたはずの僕の日常は、いつの間にか天国での生活が当たり前になってしまうのだろうか。
過去が過去になって、非日常だと思っていた現状が日常に変わる瞬間。
僕の一番嫌いな瞬間だ。
「お帰りなさい。逢坂湊さん」
天国の門番に「ただいま」と返す気にもなれず、俯いたまま不動産へ向かう。