天国の不動産
妹の友達は、よく家に遊びにきていた。
たまに3人でゲームをしたりもした。
父の会社の同僚は、家に来るたびにお茶菓子を持ってきてくれて、普段食べれないような高級菓子に毎回妹と目を輝かせていた。
初めて食べた時はまだ小学生で、美味しすぎてびっくりした記憶がある。
僕ですら忘れかけていた記憶が、人の名前を聞くことによって思い出されていく。
記憶は誰かに話さないと忘れられてしまうもの。
山下はそう言っていた。
誰かに話さないと、思い出す機会が減ってしまうのだろう。
思い出す機会が減ってしまうと、忘れてしまう。