チャリパイ10~産業スパイにご用心~

子豚の打った球は、林の木に当たって跳ね返り、見事にグリーンへ2オン。


「コブちゃん…どんだけ絶好調なのさ…」


キャディのひろきが、呆れ顔で呟いた。


「ああ…気まずいわ…」


さらにまずい事に…会長は、次の一打をバンカーに落としてしまう。


その、あまりの困難な状況に四井所課長は苦悶の表情で腹部を押さえ始めた。


「胃が痛くなってきた……」


「これだけリードしちゃうと、負けるのが難しいわね…」


しかし!それでも接待ゴルフ課としては、なんとしても会長に勝って貰わなければ困るのだ。


「子豚君…会長には、なんとしても追いついて貰うから君は『刻んで』打っていきなさい!」


グリーンに乗った子豚のボールは、ピンまであとわずかである。


「この距離から、どう刻むんだ…」


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