チャリパイ10~産業スパイにご用心~
「ちょっとアンタ!
そりゃあないだろ!お土産の金魚は?」
少し憤慨した様子で、祭は金魚すくいの店主に抗議した。
「ハテ…お土産?一体何の事でしょう?」
わざとらしく惚ける店主に、祭は語気を強めて言った。
「惚けるんじゃないよ!普通、すくえなかった客にはお土産で金魚を持たせるもんだろ!」
祭は当然の様にそう言って店主に詰め寄るが、それに対する店主の答えは冷たいものだった。
「お客さん、よその店じゃどうか知りませんがね…ウチはあくまで、すくった金魚だけがお客さんの取り分なんですよ!
そんなに金魚が欲しかったら、ダンナがすくってやったら良いでしょ」
祭はブチキレた!
「わかったよ!すくえば良いんだろ!すくえば!オヤジっ!網よこせっ!」
祭は財布から一万円札を出し、店主の前に叩きつける。
「毎度ありぃ~♪」
ニヤリと口角を吊り上げて笑う店主。
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