チャリパイ10~産業スパイにご用心~
そして、秋祭り当日がやって来た。
お祭り広場では、綿菓子、お面、たこ焼きに焼きそば、そして勿論金魚すくいも含め様々な出店が忙しそうにテントを組み立てながら準備を始めていた。
金魚すくいはあの夏祭りと同じ、悪徳店主の店である。
その悪徳店主(名前を山崎金太郎という)は、その時店の隅で、1人の老人と何やら言い争いをしていた。
「うるせぇっ!ここは俺の店なんだ!親父に口出しされる覚えはねぇよ!」
「しかしな、金太郎…
せっかくお祭りに遊びに来てくれたお客さんに、楽しんでもらわにゃあ…」
金太郎と話しているこの老人は、『山崎金造』75歳…元々この金魚すくいの店は、金造の店であった。
しかし、歳と共に持病の痛風が悪化し、去年からこの金魚すくいの店を息子の金太郎に継がせたという訳だ。
その金太郎、金魚すくいが自分の店になったのを良い事に利益最重視のやりたい放題の運営をしている。
義理と人情を重んじた昔気質の金造は、見るに見かねて金太郎のやり方に口を挟んだところ、こんなやり取りになった。
「とにかく、親父のやり方は古いんだよ!俺は俺のやり方で仕切らせてもらうからっ!」
「お前、あんな一匹もすくえないような網使ってたら、お客さん二度と来なくなるぞ」
しかし、金造にそんな事を指摘されても、金太郎は自信満々だった。
「なぁに♪心配入らねえよ♪…次の作戦はちゃ~んと考えてあるんだ♪」
金太郎…次は何をやるつもりなのだろう…
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