獄卒少女にご用心!
「……あいつ、いま制服着てますよね??」
「ああ、報告書を私服で出しには行かんだろ、あいつ上っ面は良いからな。」
「先輩、女子から『きゃ~王子~っ』て呼ばれてるくらいですもんねぇー。」
「おうじ…信じられん…。」
…あれ、頭痛くなってきた。
世の中の女性のみなさんに、あの男の本性を見せつけてやりたい。主にあの、腹黒ドエスっぷりを、だ。
上司の部屋で報告中の今もきっと、黒い笑みを隠し、時計を盗み見ながら、ナオのスマホに仕掛けたアラームが鳴るまでのカウントダウンを大いに楽しんでいたに違いない。
(だがしかし、このナオがやられっぱなしだと思うなよ!アキト!)
グッとカギを握りしめ、ぬふふと笑うと、オッサンと可愛い後輩から「きもぉーい」と言われたが気にしない。ていうかオッサン、お前はそれ言ったら逆にあかんやつ。
「決めました!!私―――あいつの私服、持って帰ってやります!仕事以外での制服着用はNGだから、着て帰るものが無くて困る、はず!!」
「それはまた……。」
「地味な嫌がらせですねぇー小学生並みですぅー。
というか先輩、ロッカーは………あれ先輩?もう行ったんです??」
もちろん個人専用の部屋などあるわけがなく、社内共用……の男子ロッカーに躊躇なく駆け込んだナオが、「ごめんなさーい!!」と顔を真っ赤にし涙目で帰ってくるまで、あと数秒。