memory〜紅い蝶と私の記憶〜
…あ、そういえば先生って私の記憶のこと知ってるのかな?


1回気になると、解決するまでモヤモヤしちゃうタイプなので聞いてみることにします!


「瀬田川先生、あの…私のことはどこまで聞いていますか?」


主語がないからか、瀬田川先生は頭にハテナを浮かべながら首をかしげている。


ちょっと可愛いなって思ってしまったのは私だけの秘密。


大人なのに、どこか幼さを残す先生。


うん、この学校生活、少しは楽しくなりそうです。


「ああ!」


やっと私の言った意味がわかったのか、瀬田川先生は手をポンっと叩いた。


…うん、先生に見えないや。


「記憶…のことですね?」


「…はい」


「お母さんからお話は聞いてます。ですが、安心して下さい。A組の生徒たちは、記憶喪失だからといって差別とかする子たちじゃないので」


そう言ってキレイに笑うから。


私は信じようって思ったんだ。


なんでそう思ったのかわからないけど。


1つわかったことは、記憶喪失になる前の私はきっと…。


人が信じられなくなっていたんだ。



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