memory〜紅い蝶と私の記憶〜
それに…きっと〝私〟は空を見るのが大好きだったのだ。


じゃなければ、この空を見てこんなに感動はしないはず。


そりゃあ、キレイな空なら感動する人もいると思うけど…。


でもそれとはまた別な気がするから。


きっとそれは無くしてしまった記憶に関係があるのだろうけど、その記憶は捨てると決めた。


だから今は…この胸の中に渦巻くモヤモヤには気づかない振りをする。


「じゃあ、次に行こうか」


「うん!次は何屋さん?」


「本屋さんだよ!バタフライの2つ横にある街で一番多いな本屋さん」


歩いて数分のところにある大きな本屋さん。


高松君が言ってた通り、すっごく大きい。


「…未来?」


「すごい!読めたんだ!僕は初めて見た時読めなかったんだよね〜」


え…これ中学の範囲じゃないの?


でも私が読めたってことは英語は得意だったってことかな?


「future。星南の言った通り、未来って意味だよ。ここには本当にいろんな本が揃ってる」


扉が開くと同時に、お客さんを知らせる音が鳴る。





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