memory〜紅い蝶と私の記憶〜
「それは楽しみです」


「ふふ。僕の自慢の生徒だからね。すぐ馴染めるよ」


自慢の生徒か…。


先生にこんな嬉しそうな顔をさせるA組はどんなクラスなんだろう。


「そうだといいですけど」


「大丈夫だよ。じゃあ、呼んだら入ってきて下さいね」


「わかりました」


私が頷くのを見て、瀬田川先生はニコリと微笑み、教室の中へと入っていった。


瀬田川先生が入った途端、うるさかった教室はもっと騒がしくなった。


「せんせーい!転校生くるって本当?!」


「本当ですよ。静かになったら入ってもらいますね」


「女の子?!男の人?!」


「女の子ですよ」


「まじか!可愛い?!美人?!」


おお…転校生ってなるとこんなにすごいのですか。


しかも先生も真面目に返すから、静かになるどころか、もっと騒がしくなる一方で。


いつになったら入れるのかな…。


そう思った時。


「うるさいっ!!」


━━ビクッ。


大きな声に肩が揺れる。


その声に、騒がしかった教室が一気に静まり返った。



一体教室で何が起こってるの?



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