memory〜紅い蝶と私の記憶〜
絆創膏を貼ろうとして気づいた。


ど、どアップだ…っ。


うぅ〜…ドキドキして手が震えるっ。


震える手と、ドキドキする胸を抑えながら何とか貼り終える。


頬に絆創膏が貼ってある高松くんの姿になぜか…違和感を感じる。


だけどその違和感が何かわからない。


すごく…モヤモヤするっ。


「ありがとっ!でも絆創膏持ってるなんて女子力高いね!」


「なっ!それは私が女子力ないってことっすか?!」


「そうは言ってないよ?!」


「まぁまぁ。…絆創膏はお母さんに持たされたか…ら…」


あれ?


お母さんに持たされたから?


本当にそう?


…違う。


お母さんに持たされてなんていない。


だって私は、机の上にあったこのポーチをそのまま持ってきたから。


それも無意識で。


じゃあ、この絆創膏は?


なんで入ってたの?


私が怪我した時に貼るために?


ううん、私はそこまでドジではない。


それはこの数週間でわかってる。


じゃあ…何のために?


…あの記憶の欠片の中にいた人たちに貼っていた?







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