memory〜紅い蝶と私の記憶〜
「はいはい、それくらいにしないと話せないって。ねっ、せたちゃん」


…せたちゃん?


…っあ!瀬田川先生のことか!


瀬田川だから〝せたちゃん〟!


「そうですね。静かにして席に座りましょうか」


先生の言葉に、ゆっくりとだけど、みんな静かに席に着いた。


「では、赤澤さん、自己紹介お願いします」


こくんと頷いて、みんなの顔を見る。


「初めまして!赤澤星南です!みんなと仲良くなれたらいいなって思ってます!わからないことばかりですが、どうぞよろしくお願いします!」


い、言えた!!


噛まずに言えたっ!!


「みんな、赤澤さんはこの間事故に遭って記憶喪失です」


…先生?!


え、このタイミングで言うの?!


みんなも驚いて、目が見開いている。


うわー、それほど驚いたってことだよね?


まぁ、普通は記憶喪失の子が転校してくるってことはないだろうし。


「記憶を失っていても、このクラスに仲間が増えたことには変わりありません。だから遠巻きにしないで、ちゃんと仲間として迎えて下さい」


まさか先生がそんなことを言ってくれるとは思わなくて。


涙が出そうになるのを必死に堪える。




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