memory〜紅い蝶と私の記憶〜
「あら?昶ちゃん、後ろの子は?」


あ、昶に隠れて見えてなかったのか。


昶の後ろからひょこりと顔を出す。


「…っぇ?」


ん?


真正面から見たその人は本当に美人さんで。


その美人さんが…私を見たまま固まってる?


というか、驚いてる?


なぜにだ?


「おーい、美緒さん?」


「っぁ、ごめんね。ちょっと知り合いに似てたからビックリしちゃって」


知り合いに似てたから…?


目を見開いて驚くほど似ていたのかな?


「知り合いに?どんな子なの?」


「私の弟と仲がいい子なんだけど、すっごく可愛くて!もうね、小動物なのよ!」


ん?!


目の前で力説しているこの人は…本当にさっきの方と同一人物でしょうか?


「どーどー。わかりましたから」


「…こほん。久しぶりにあの子の話をしたからつい。ごめんなさいね?」


「い、いえ!大丈夫です!」


「久しぶりって弟さんってあのイケメンくんですよね?話題とかで出ないんですか?」


ねぇ、どうしてそんなに悲しそうな顔をするの?


今にも泣き出しそうな顔に、胸がズキンと痛んだ。







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