memory〜紅い蝶と私の記憶〜
ゆっくり…ゆっくり…。


ゆっくりを心の中で繰り返しながら、階段をゆっくり降りると何とか無事に2階についた。


…よし、ここを真っ直ぐ行けば数学準備室だ。


幸い2階に教室がある3年生はテストで午前中で帰ってるため、人とぶつかる心配もない。


それだけが救い。


さっきは何回もぶつかりかけたし。


…あった、数学準備室。


━━コンコン。


「はーい。…と、赤澤か。そこの机に置いといてくれ」


「はい。失礼します」


ここの机ね。


…はぁ、重かった。


「ん、助かったよ。…そうだ、赤澤。今の授業にはちゃんとついてこれてるか?」


「え?あ、はい。たまにわからないところとかありますが、お兄ちゃんとか友達が教えてくれるので」


記憶喪失で今まで習ったことも忘れちゃってるし。


学校に行く前にお兄ちゃんに教えてもらってたからついていけたけど。


それでもやっぱりわからないところは出てくるもんで。


そのたびにお兄ちゃんや幸助先輩に教えてもらってたんだよね。


…昶と美鈴ちゃんは勉強自体が苦手なようなので一緒に勉強しました。















< 188 / 344 >

この作品をシェア

pagetop