memory〜紅い蝶と私の記憶〜
「か、彼氏っ?」


「あれ?知らなかったの?」


「こいつらは星南が事故に遭ってから知り合ったからな。星南は自分のことはあまり話さなかったから、俺も母さんも知らなかった」


あ…そうだったんだ。


でもなぜ話さなかったんだろう。


…話せないことがあった、とか?


んんん…ぜんっぜんわからない。


「で、その彼氏のこと、くわし〜く聞きたいんだが」


「お兄ちゃんっ?!」


「兄としては知っておきたいんだ」


お兄ちゃん…。


私も知りたいよ。


だって自分のことだもん。


でもね?


聞いて、知って。


知ってしまったら、何かが変わってしまうような気がして怖いんだ。


「星南、怖くないよ」


「え?」


どうして考えてることがわかったんだろ。


「変わることはない。みんな本当の星南のことを知りたいと思ってるんだ。知ったところで変わらねぇよ」


「お兄ちゃん…」


「星希の言う通りです。安心してください」


幸助先輩の言葉に、美鈴ちゃんや昶もうんうんと頷いている。







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