memory〜紅い蝶と私の記憶〜
「詳しくは言えない。けど、大まかになら言える。それでもいいか?」


「詳しくは言ってくれないの?」


「…これは俺のワガママなんだけど」


わがまま??


あ…また悲しそうな、辛そうな顔…。


私はどれだけこの人のこんな顔を見ないといけないんだろう。


…でもこんな顔にさせているのは、私…なんだよね?


「星南には自分で思い出してほしいんだ。教えてもらったから、ではなく」


自分で思い出す。


それは出来るなら私もそうしたい。


確かに紅蝶と出会ってから、前よりも思い出すようにはなったよ?


だけど…肝心なことを何一つ思い出せない。


一緒に暮らしていたという彼氏のこと。


私の消えてしまった思い出。


紅蝶のみんなとの関係。


思い出せないけど、築路は私にとってもすごく大切な存在だということはわかるんだ。


だから、その築路が〝そう〟望むなら私は…。













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