memory〜紅い蝶と私の記憶〜
「…もうやめるか?」


「…ううん。続けて」


やめないよ。


だって、私を大切にしてくれてるみんなを思い出したいから。


その思いが通じたのか、ふぅと息を吐き出す築路。


それに肩がビクリと揺れたのは仕方ないよね。


「わかった。でもしんどくなったり、辛くなったら遠慮せず言うこと」


こくり、と一つ頷くと、頭を子どもにするように撫でられる。


しかも…。


ちらっと見たその顔はすごく嬉しそうに微笑んでて。


下を向いて真っ赤になっただろう顔を隠す。


お兄ちゃんやmoonのみんなと同じなのにっ。


なんでだろ、築路にされると…すごく恥ずかしいっ。


「人との関わることの温かさを知り、2人は笑顔を取り戻すことが出来たんだ」


笑顔…。


そういえば、2人の笑顔ってとても楽しそうで。


なりよりも心から幸せそうに笑っていた。


…ああ、私は2人に大切なことを間違えずに教えてあげることができたんだ。


良かった…。










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