memory〜紅い蝶と私の記憶〜
「お兄ちゃん〜!」


玄関から2階の自分の部屋にいるお兄ちゃんに向かって叫ぶ。


音楽とか聞こえないから、叫んでも聞こえるはず。


「どうしたー?」


「ちょっと出かけてくる〜!」


「はぁ?!」


あ、下りてきた。


しかも何気に眉間にシワ寄ってません?


シワ取れなくなるよ〜?


「築路と行くのか?」


「ううん。昶とだよ」


「はぁ?」


…2回だぁ。


「なんで昶なんだよ。築路は帰るのか?」


チラッとお兄ちゃんが築路を見るから連られて見る。


昶のことを言ってからずっと、築路は悲しそうに笑う。


最初は俯いていたけど、今は凛と背中を伸ばしている。


それでもやっぱり悲しそうな顔は変わらない。


今はお兄ちゃんの言葉に苦笑いしてるけど…。









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