memory〜紅い蝶と私の記憶〜
「大丈夫だよ」


えっ?


とても優しい声に、ふと俯いていた顔を上げると築路は優しく微笑んでいた。


「みんなはね、最初は驚いたりするんだけど、でも嬉しそうな顔は隠してきれてないんだよね。それに、思い出話としてよく話題に出しては笑ってるから」


「みんな仲がいいんだ…」





「それが紅炎の願いだからな」





「こう、えん…?」


━━ずきん。


なんだろう。


初めて聞くはずなのに。


懐かしい感じがする。


「紅炎は紅蝶の総長である俺の〝影〟と呼ばれているんだ」


「影?」


「総長の背中を守り、総長が危険になれば盾になる。それが影と呼ばれるものの役目」


総長が危険になれば盾にって…。


それじゃあまるで…。


私の考えていることがわかったのか、築路は微笑むと頭を優しく撫でられる。










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