memory〜紅い蝶と私の記憶〜
「ありがとぅ…」


「どういたしまして♪」


右耳にピンク色のリボンが付いてて、可愛らしいスカートを履いているクマのぬいぐるみ。


昶が取ってくれたからか。


それとも、このシリーズに何か思い入れがあるのか。


それはわからないけど…。


でも、すごく嬉しいっ。


ぎゅーっとぬいぐるみを抱きしめていると。


「星南…?」


その場に響き渡るすこし低めのテノール。


でも、その声はとてもはっきり聞こえた。


その声の主は…。


「築路…」


声が聞こえた方を見ると、築路だけではなく紅蝶の幹部メンバーが勢揃いしていた。


その中でも一際目立つのが…築路。


その築路の目線の先は…私の頭?


ん?!


頭の上に昶の手?!


いつの間にか頭を撫でられていたのね…。


築路に視線を戻すと、バッチリと目が合った。


途端に、悲しそうな、泣きそうな顔になった。


──ずきん。


胸がいたいっ。


どうしてかな。


築路の悲しそうな…泣きそうな、辛そうな顔を見ると胸が痛くなる。










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