memory〜紅い蝶と私の記憶〜
歩いてるからゆっくりのはずなのに。


すごく早く感じる。


少し先でチラリと振り返った築路と目が合う。


「あっ…」


だけどすぐに目が逸らされて。


待って!!!


行くなっ…つきっ!!


そんな思いと共に追いかけようと足を踏み出した瞬間、昶に手を掴まれた。


「あき…ら?」


あ…私いま…?


行くなって…。


つきって築路のこと…?


記憶を失う前の私は〝つき〟と呼んでいた?


「っ?!昶っ?!」


いきなり腕を引っ張られたと思ったら、すごいスピードでお店を後にする。


はやっ…着いていくのに必死だよっ。


…どこに向かってるんだろう。


こんな昶初めてだよっ。


そしてら着いた場所は…建物の裏側。


真っ暗な路地裏。










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