memory〜紅い蝶と私の記憶〜
コンコン。
「どうぞ〜」
「…お兄ちゃん」
「そこに座れ」
指を差された椅子に大人しく座る。
お兄ちゃんはきっと気づいてる。
さっきの着信の主が昶であることに。
「さて、今の俺はmoonの総長じゃない。普通の男子高校生で、星南の兄貴だ」
moonの総長じゃない、普通の男子高校生…。
「だから、なんでも相談していいんだ」
あっ…。
だからお兄ちゃん…。
そうだよね、1人じゃ頭の整理なんて出来ないんだもん。
ここはお兄ちゃんに頼らせてもらおう。
「…今日は昶と学校帰りに街に行ってて。その先で築路たちと会ったの」
「築路たちと?」
あ、今少し声のトーンが上がった。
築路たち好きだもんね。
「うん。なぜかわからないけど、昶の機嫌が悪くなって。いろいろあって…」
「拒絶してしまったと」
お兄ちゃんの言葉にコクリと頷く。