memory〜紅い蝶と私の記憶〜
第十三章

大切だから

築路side。


「はぁ…」


ため息をつくと幸せが逃げるというが…ため息しか出ない。


思い出すのは星南と高松とかいう男。


星南は…高松のことをすごく信頼していた。


すごく楽しそうで、仲も良さそうで…。


「はぁ…」


思い出したくないけど、どうしても思い出す。


…毎日会いに行けば少しは記憶が戻るかと期待した。


だけど記憶は戻ることはなく、自分が辛くなるばかりで。


記憶を思い出さないということは、俺たちのことは忘れたい。


そういうことだろ?


このまま星南に会いに行っていいのか。


〝つき君〟


それでも思い出すのは、俺の名前を呼んでは幸せそうに微笑む星南の顔。











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