memory〜紅い蝶と私の記憶〜
「っ?!なんだ?バイクの音か?」


「大丈夫だ。紅蝶が到着しただけだから」


「え?紅蝶?」


「俺はあいつらを連れて紫龍会の倉庫に向かう。星南は無事に助け出す。お前は落ち着いたらmoonの奴らを連れてこい」


紫龍会は紅蝶だけで潰せるくらいには弱い。


ただ、薬や鉄パイプなどを使うこともある。


そこが厄介なんだ。


だからこそ、moonがいるだけですごく助かるんだ。


「…わかった。なるべく早く向かう」


「おう!」


星希の顔は先程の青ざめた顔とは違い、総長の顔になっていた。


俺たちに追いつくのも時間の問題だな。


「築路さん!!」


「…どうした、高松」


「星南を、よろしくお願いします!!」


本当は自分が助けたいんだろうな。


悔しそうな、泣きそうな。


そんな顔をしてる。


「ああ」


そう返事をすると、強ばっていた顔が少し緩まり、泣きそうな顔で笑った。


星南。


お前は記憶を無くしても、優しいやつと出会うことが出来たんだな。








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